以前、和牛の採卵において「変性卵が多くて、残念な結果となってしまいました。」と報告しましたが、
12月中にも黒毛和種とホルスタイン種をそれぞれ採卵しました。
結果は
やはり変性卵が多い…
管内の黒毛和種の農家さんでは、私たちの診療所以外でも採卵を行っているのですが、同じように変性卵が多かったとの事。
餌の質の向上、添加剤の給与、FSHの調整などを試してみましたが、残念ながら結果はあまり変わりませんでした。
う〜んと悩んでいると。
2023年1月号の「臨床獣医」にちょうど黒毛和牛の受胎率や採卵成績についてのコラムを発見。
寒冷ストレスが繁殖性へどれくらい影響を与えるかという内容でした。
温湿度指数(THI)は皆さんもご存知の通り、環境における暑熱ストレスなどを評価するために利用されていますが、
寒冷ストレスについても評価することができます。
以前、子牛の寒冷ストレスの指標として紹介させていただきましたが、今回は母牛となります。
コラムの内容によると、THIが60を下回ると、有意に受胎率が低下した、
また、OPUを行なった月の平均THIと良質卵子率の関係においても、THIの低下に伴って割合が低下した。
と記載されていました。
そこで、私の管内の気温と湿度をもとに、THIの推移を作成してみると…
10月頃から4月頃までは、THIが60を下回っている。(平均最高気温と平均最低気温で作成)
卵胞の発育には80〜100日かかるとされていますので、採卵結果の反映にはタイムラグがあると思いますが、
寒いというストレスも卵質に影響を与えていたのでは、と思います。
暑熱も寒冷も両方ともしっかりと対策をして、採卵を実施する必要がありますね。
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