人で例えると、アスリートのような搾乳牛にとって、「食べる」「飲む」「寝る」はパフォーマンスを最大限に引き出すために、とても重要な事です。今回は「食べる」について、普段、現場で活用しているスコアリング方法を紹介したいと思います。
餌槽を見れば分かる?
「食べているかどうか」は、当然、目の前でもぐもぐ餌を食べている光景を見れば、「食べている」となります。つなぎ牛舎であれば、(横取りされないことを前提として)目の前に与えた餌が無くなれば、当然「食べた」ことになりますし、また、残餌の量から、食べた量も把握することができます。では、放牧場やフリーストール等のように、自由採食で管理されている牛はどうでしょうか?同じように、餌を食べている光景を見れば、「食べている」となりますが、その光景が見れなければ、「食べていない」となるのでしょうか?このような管理の中では、「食べていない」とは断言できませんし、「どれくらい食べているか」も把握することは困難となります。
牛を見て判断する
では、「食べている」や「どれくらい食べているか」を評価するためには、牛のカラダのどの部分を観察すれば良いのでしょうか?ルーメンの内容量を把握するために、「ルーメンフィルスコア」と言う評価基準があります。観察する場所は、カラダの左側の膁部(けんぶ)と呼ばれる窪みの部分です。
深い台形上の窪みに見える
深い三角形の窪みに見える
手1つ分の窪みはみえるが、
腰角から折り込まれた皮膚は見られない
膁部の窪みは見られない
腰椎横突起は内容物の充満によってはっきりしない
スコア1〜5まで分類し、スコアが大きくなるほど第一胃内容物の容積が大きくなります。搾乳牛と乾乳牛それぞれで、理想的なスコアは異なります。
- スコア1〜2 搾乳牛、乾乳牛ともに採食量不足
- スコア3〜4 搾乳牛で適正
- スコア4〜5 乾乳牛で適正
ルーメンフィルスコアを活用しよう
ルーメンフィルスコアは直近2〜6時間の採食量のおおよその目安となります。私たち獣医師の場合は、治療前後の採食量の客観的な把握に活用することができます。飼主さんたちは、特に群で管理する場合、複数頭をモニタリングすることで、牛群全体の摂取量の過不足を判断する手助けとなります。また、分娩後の立ち上がりや、徐々にコンディションが低下している個体などの発見にも役立ちます。
その他、カウシグナルズには様々な観察方法が書かれておりますのでご参考していただければと思います。
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