検査結果を鵜呑みにしてはいけない

 「何となく変」という飼い主の稟告により往診。黒毛和牛のちょうど2ヶ月齢の子牛だった。

特に痩せていたり、発育不良には見えなかったが、ミルクを飲んだり飲まなかったりとのこと。

触診や聴診では少し胃にガスが溜まっていて、便はやや軟便であった。「何となく変」という結論で、血液検査も実施してみることに。

 生化学検査では数値の異常は見られなかったが、白血球が大きく増加し、中でもリンパ球が大部分を占めていた。

あまりにもレアなケースだったため原因を検索。牛伝染性リンパ腫(旧牛白血病)の若齢子牛の症例を発見したため、早速、血液塗抹を作成する。

×400

あれ…、異形リンパ球ではなく、好中球がたくさん見られる…

もしかすると、と思い再度血液検査を実施。

すると…

顕微鏡で観察された数字に訂正された。

先日機械の点検をしてもらったばかりなので、おそらくは、血液の混和などの問題だと思う。診断を大きく誤るところであった。

 結局、この牧場はマイコプラズマ性の中耳炎や肺炎の多く見られる農場であったため、抗生剤による治療を選択することとした。今回は、たまたま顕微鏡で観察したことで、数値の誤りに気づくことができたが、血液サンプルの状態や保存にはくれぐれも注意しなければならないと感じた出来事でした。

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