はじめに
「時間」という目に見えないものを普段から意識していますか?
世界の億万長者の人たちが、どれほどお金を払ってでも買いたい。それが「時間」です。
それほど「時間」には価値があります。わたし達はその貴重な「時間」の大部分を仕事に費やしています。また、効率の悪い仕事や作業により、わたし達は貴重な「時間」を、よりいっそう奪われてしまいます。
では、 効率の悪い作業から逃れる → 作業時間を短縮する
ためにはどのような方法があるでしょうか。

上の図の様に数ある方法の中から、今回は、「作業手順の見直し」のツールとして便利な、「アローダイヤグラム」と「クリティカルパス」という考え方を紹介します。
アローダイヤグラムとは
アローダイヤグラムとは、ある1つの仕事の中において、複数の独立した作業の流れと、所要時間を表した図です。もともと、多数の作業からなるプロジェクトにおいて、個々の作業とプロジェクト全体の日程を管理する方法として用いられています。
クリティカルパスとは
クリティカルパスとは、アローダイヤグラムの図の中において、開始から完了までの複数ある経路の中で、最も所要時間を要する作業経路のことです。つまり、この所要時間がプロジェクト完了の最短時間となります。また、この経路に遅れが生じると、プロジェクト全体の完了期間が延びることにもなります。
仕事例1(獣医の往診)
農場に到着後、仕事内容とそれぞれの所要時間は次のように分けることができます。
- 診察 10分
- 治療の準備 5分
- 処置(注射・点滴など) 30分
- 発情確認 5分
- 授精の準備 5分
- 人工授精 5分
- 書類作成 5分
アローダイヤグラムの図で表すと

この場合、診察から始まり、処置(注射・点滴等)を通る経路が最も時間を要するクリティカルパスとなります。
つまり 10分+5分+30分+5分=50分 が最短の所要時間となります。
治療の処置まで終わらせて、点滴の待ち時間に人工授精を行うことが、実際の流れとなるでしょう。この時、点滴の待ち時間を短くすることが可能であれば、仕事全体の所要時間を短縮することができます。
仕事例2(酪農の仕事)
次に酪農の仕事を例に考えてみます(繋ぎ牛舎、分離給与)。午前中の仕事内容と所要時間を次のように分けると
- 除糞(1回目) 10分
- 餌やり(1回目) 30分
- 搾乳準備 10分
- 搾乳 120分
- 餌やり(2回目) 30分
- 哺乳 30分
- 除糞(2回目) 10分
- 片付け 10分
アローダイヤグラムの図で表すと

作業員が複数いる場合は並行して作業を行うことができます。この場合、中央の搾乳を通る経路が最も時間を要するクリティカルパスとなります。
つまり 10分+10分+120分+10分+10分 = 160分 が最短の所要時間となります。
搾乳作業の間に、同時進行で餌やりや、哺乳などが実施できれば最短で仕事を完了することができます。また、搾乳時間をさらに短くすることが可能であれば、仕事全体の所要時間を短縮することができます。(従業員を新たに雇うのであれば、搾乳者を募集することが仕事の短縮につながります)
まとめ
以上のように、「アローダイヤグラム」、「クリティカルパス」を用いることは、全体の仕事時間を短くすることにつながる作業内容を視覚的に見つけ出すことができます。アローダイヤグラムの実際の図はやや複雑に描かれていますが、概念だけでもお役に立てればと思います。
コメント