先日、分娩後の血乳について尋ねられた。
その場では、生理的な要因と物理的な要因をそれぞれそれとなく説明し、予防法などを提案した。
ところが、
「クローズアップ期の栄養管理で、蛋白質の給与量が過剰でも、不足でも両方血乳になるよね」
という質問に、恥ずかしながら言葉が詰まってしまった。
原因としては、わたしの頭の中で、「血乳症」と「乳房浮腫」の原因と発生メカニズムがごちゃごちゃになってしまっていたからだろう。
「一度頭の中を整理します」
と出直す事とした。
新しい文献や、古い資料などを引っ張り出して調べてみるが、最近はあまり詳細な情報は無いようだった。少し不十分だろうと指摘を受けそうですが、一応血乳症と乳房浮腫についてまとめました。
酸化ストレスなどは、血管を脆弱にしてしまうことから、結果として血乳と浮腫の両方に影響を与えているとも考えられます。塩分の過剰摂取も浮腫の原因と古い文献でありましたが、現在でも原因の一つでしょうか。
治療法についても様々な報告がありますが、実際の効果はどうでしょうか?治療に対する反応は、おのおの異なり、ゴールドスタンダードとなるような治療法は無いように感じます。
わたしとしては、予防 > 治療 と考えた方がうまくいく気がします。
その場合、「乳房浮腫」の予防であれば、やはり蛋白質要求量がカギとなります。日本飼養標準には「育成牛」、「経産牛」それぞれの要求量が記載されています。また、付属のソフトでもざっくりと要求量のシミュレーションができます。
また、飼料メニューの分析値がどれくらいかを把握する必要があります。自給飼料のみならず購入飼料においても、品質の違いにより、上限〜下限の数値(%)では大きく異なります。この違いを修正しないと病気が多発するケースがあります。
日々の業務に追われる中でも、定期的な飼料分析と、基準となる飼料計算をサボらずに実施していきたいところです…
参考飼料
- 「家畜診療」2011年6月号(乳牛の血乳症の原因と対処)
- 日本飼養標準 乳牛(2017年版)
- Graduate Student Literature Review: Udder edema in dairy cattle-A possible emerging animal welfare issue (J Dairy Sci 2021. Cora Okkema, Temple Grandin)
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