「先生、ハエのウジに困っているんです。」
「従業員もこの仕事やめたいと言ってきました。」
「そこまで大量ですか?でもIGR(昆虫発育抑制剤)ちゃんと撒いてませんでした?」
確認すると


虫嫌いの人にとっては、すぐにでも立ち去りたい光景が…
ノコクズの山を這い上がっていく何かの幼虫。
「これはハエの幼虫ではないですよ…」
調べてみると、これは「ハナアブ」の幼虫。
ハナアブとは?
ハエ目(双翅目)・ハナアブ科に属する昆虫で、体長は5mm~25mmの様々な種がいます。「アブ」と名前がついていますが、「ハエ」の仲間だそうです。幼虫はナメクジの様な形をしていますが、水生で、長い尾を持ち、「オナガウジ」とも呼ばれています。成虫はミツバチによく似ています。
ライフサイクル:成虫の寿命は30日弱とされています。卵から孵化し、幼虫は20日程度で蛹になります。その後、約10日間の蛹から成虫となります。

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害虫?
幼虫こそ見た目がかなり気持ちが悪いですが、成虫は吸血はしません。また、植物の害虫である「アブラムシ」を捕食したり、受粉などにも貢献することから、一般的には「益虫」とされています。
しかし幼虫の見た目の悪さは、従業員が「もうこの仕事やめたい」と思うほどなので、今回は「害虫」として扱いたいと思います。
発生源
「ハエ」の発生源は主に「堆肥場」が多いとされています。一方で、「ハナアブ」の発生源は「堆肥場」「れき汁」もしくは「畜産汚水」とされています。ハエと異なる点は、水中でも生息できるなど環境への適応力が高いことです。
わたしの管内には一般的なバーンクリーナーによる糞尿処理ではなく、「流下式糞尿溝」と呼ばれる糞尿処理方式が数件あります。イメージとしては大雨や雨漏りによって、バーンクリーナーが浸水してしまっている状態です。この汚水からハナアブの幼虫が大量発生します。そのため「流下式糞尿溝」方式を採用している農場で共通して発生が多く見られます。
対策
ハナアブは寒さに弱いため、ハエと同じく春〜秋にかけて発生します。成虫は孵化してまもなく野花へ飛び立ってい苦ため、牛舎で見ることはほとんどないでしょう。そのため、幼虫〜蛹が対策のターゲットになります。
生息場所で多い場所はやはり汚水中です。直接殺虫剤を尿溝へ滴下(市販ので十分だそうです)、さらにIGR製剤を併用すると効果的の様です。IGR製剤は一般的なハエの対策にもなりますので定期的に行うことでより効果が見られます。
今回の事例では、「堆肥場」にはIGR製剤を散布していました。しかし、尿溝など「汚水のある場所」への散布をしていなかったため大量に発生した様でした。
まとめ
今回の様に、かなり衝撃的な光景に出会うことは良くあります。「未知なもの」に出会うと、どうしても「不安」や「恐怖」を抱いてしまいます。しかし、これが「既知なもの」へ変換された時、冷静さを取り戻すことができます。
昨日まで気持ち悪かった幼虫が、「益虫」と分かってから従業員の方も少し落ち着いた様です。対策による効果が見られるには少し先ですが、あの衝撃的な光景を見ることはもうないでしょう。
余談ですが、別の農場で体調5mm位の大きさの黒いてんとう虫に似た虫が大量に発生していました。
虫が大嫌いなのであまり調べたくないのですが…


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