「搾乳するときに、乳頭の中に玉があって搾れなくなるんだけど。」
と農家さんから診療依頼。
こういったケースの場合、大体は次の3つのパターンが当てはまる。
- 乳頭内の組織の一部が炎症により肥厚している
- 血餅や体細胞の塊など
- 肉片や石の様に硬いもの
2、3の場合は結果として何とか取り除く事により、改善することが多いのですが、1の場合、無理に除去するとさらなる炎症を引き起こしてしまうことがあり、とても厄介だ。この場合は、しばらくミルカーによる搾乳をその分房だけ休止してもらうと、軽度であれば再び搾乳することが可能となる場合が多い。
症例1
分娩後すでに乳頭内にコロコロとした異物があり、ミルカーによる搾乳が困難であった。ある程度の大きさであれば、グッと力ずくで乳頭口から搾り出すことができるのですが、今回は、触っただけでそれが不可能であると分かる大きさでした。
こういった症例の場合、こちらの器具を使用します。


鎮静化で、乳頭内に器具を挿入し、塊を細断し排泄させます。左の器具で細断、右の器具で掴むことができます。
そして今回取り除いた異物がこちらです。

細断した一部ですが、大きさは1cm×2cmほどあるでしょうか。ゴムの様な柔らかさで肉片の様でした。
今まで見てきた種類ともまた違う…
この牛は、前の乳期の途中でもこのような異物で詰まったことがあるとのことです。(その際は搾乳を休止したそうです)
症例2
こちらの症例も分娩後にすでに乳頭内に異物がありました。大きさは症例1ほどではないようですが、乳頭を触った感じだと、1個や2個ではなさそうな感触でした。(感触的にはドロドロのブツを搾る感じでした)
今回は先程の器具は使用せず、「導入管」を挿入して、少し乳頭口を拡張させた後に搾り出しました。

結石のような塊や軟部組織のような異物がものすごい数出てきました。
ちなみに症例1、2は同じ農場です…
何か飼養管理上の問題があるのでしょうか?
予後と今後
症例1、2ともに再発することもなく、現在も問題なく搾乳ができているようです。
症例に挙げていませんが、10月だけで他の農場も含めて4件の乳頭内遺物の診療依頼がありましたが、いずれも異なるケースでした。症例2の異物は現在保管しており、成分分析ができるか模索中です。何か原因の解明をすることができれば、予防つながると思うのですが…


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