乳牛の平均寿命について考える

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動物種によって平均寿命は大きく異なる

「様々な動物の平均寿命」について調べていると、

  • 犬:13年
  • 猫:15年
  • 馬:25年
  • 豚:15年
  • 牛:20年
  • 人:80年

中には不死といった生物もありました。

ちなみに、「鶴は千年、亀は万年」の鶴は50年、亀は50〜80年だそうです。

千年も万年も生きないことは分かっていましたが、ゾウガメの中には200年近く生きて、ギネス記録にもなっているそうです。

さて、本題ですが、

ここに紹介されている、牛の平均寿命が20年というのは本当でしょうか。

そもそもどんな牛の平均寿命なのか

そもそも、この平均寿命20年の牛とはどんなグループなのでしょうか。

繁殖和牛なら、20年も飼われていることは珍しくないと思いますが、

乳牛ではなかなかお目にかかれないのではないでしょうか。

(ちなみにわたしは最長で16歳でした。注射する時は、「先輩失礼します」と声をかけていましたよ)

平均寿命20年のグループとは、「ペット」のように飼われている牛が対象だろうと考えた方がほとんどではないでしょうか。

わたしもそのように考えていました。

しかし、「乳牛の平均寿命」について、この文献を読んで少し考え方が変わりました。

Review: Overview of factors affecting productive lifespan of dairy cowsA De Vries 1M I Marcondes 

PubMedで「dairy cows」と検索するとフルペーパーで読むことができます。

過去数十年、飼養環境の向上、遺伝的能力の上昇など寿命が伸びそうな要因が向上しているにも関わらず、実際の乳牛の平均寿命は4.5〜6とされ、平均寿命の延長に結びついていないそうです。

ここ数十年の環境の変化や、医学の発展により、将来的には人間の平均寿命は100年にもなるというのに…「なぜ乳牛の平均寿命は伸びないのだろうか

答えとして「経済性が最も平均寿命を短縮させている要因である」と文献から解釈できます。

何となく理解できそうですが…

文献の内容も混ぜて考えたいと思います。

淘汰・死廃要因についての調査

平均寿命を短くする要因として、

淘汰や死廃事故による除籍が要因として、まず挙げられます。

除籍が多いほど平均寿命は当然短くなります。

文献の中では、日本における「牛群検定情報」から除籍理由を調査したようです。

除籍理由の多い順に

  • 死亡
  • 繁殖障害
  • 傷害・その他
  • 低乳量・乳房炎

であり、繁殖障害や乳房炎による除籍の基準は、農場の環境によって大きく異なるそうです。

例)季節繁殖を実施している農場では、期間内に妊娠できなければ直ちに除籍されてしまう

生産寿命を長くする代償

論文の中では、2つの観点から寿命について述べています。

動物福祉の観点から

平均寿命を伸ばすことは重要である

酪農経営の観点から

乳牛における「生産寿命」の延長は持続的な酪農経営を妨げている

そして

「生産寿命」を伸ばすことは、むしろ「平均寿命」を短くしている

と最終的に結論付けている。

つまり

生産寿命が延長すれば、後継牛としての乳牛が必要なくなり

肉用牛として生産される。

肉用牛は出荷のため短命

その結果、平均寿命は短くなる…(トレードオフの関係ですね)

基本的に「長命連産」が理想、とわたし自身考えていたため、

この文脈については興味深く感じました。

生産寿命を伸ばすことは経済的にもデメリット

生産寿命と、経済性を考えてみると

生産寿命が伸びると、1頭の牛が稼いだ生涯収入は増えます。

しかし、これはマラソンレースにおいては目指すべき目標ですが、

飼養コストが増加している最近の酪農経営(まさに短距離レース)においては、目指すべき目標とはなりません。

短距離レースという競争の中で生き残るためにも、遺伝的改良が重要であることにも納得がいきますね。

これらの理由から、生産寿命の目標を5産とされていたのでしょう。

まとめ

牛の平均寿命についてまとめると

  • わたしたちが普段意識している寿命は「生産寿命」である
  • 「生産寿命」は伸ばすことは結果として「平均寿命」を短くする要因にもなる
  • 持続的な酪農経営を目指す事こそ、動物福祉にもつながる

カウコンフォートを向上させつつ、酪農背景にあった「生産寿命」を設定することが重要ですね。

現在の飼養コストの高騰や、環境問題への配慮により、ますます「平均寿命」と「生産寿命(目標)」を意識することになりそうですね。

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