淘汰対象牛が増えている?
授精を行わず、今乳期限りで食肉などへ廃用予定(低乳量、繁殖障害など)の牛がいわゆる「淘汰対象牛」となります。これらの牛が増えている原因として、主に2つの理由が挙げられます。
- 飼料価格の高騰を主要因とした、より効率的な牛乳生産が求められている
- 市場における母牛価格の低迷により、より購入しやすくなっている
(現在の酪農情勢では①の理由の方が多いと思いますが)
通常、すぐに食肉用として出荷したいところですが、実際は屠場の受入れがストップしている場合や、ギリギリまで搾乳を続けたいという理由から、一定期間農場で継続して飼養されていることが多いのが現状です。
問題事例
淘汰対象牛を継続して飼養した場合の問題として、発情兆候による乗駕・スタンディング行動を原因とした滑走、転倒が挙げられます。これらの事故により、枝肉損傷による価値の低下のみならず、最悪の場合、他の飼養牛が廃用となってしまう事例もあります。
今回の投稿では、先ほどの滑走・転倒事例の予防法と、牛群検定における淘汰対象牛の取扱いについて紹介します。
発情を抑制するワクチンの使用
最近では、牛の乗駕・スタンディングなどの「発情行動」を抑制する薬品が使用されています。この薬品は、ホルモン剤ではなく、ワクチンに分類されており、発情周期を担うホルモンの1種に対応する抗体を作ることで、そのホルモンの作用を抑制する効果があります。
[効能・効果]
ワクチン接種と同様に皮下接種します。あくまでワクチンですので出荷制限は無いようです。2回目の接種後、約32週間作用が持続し、乗駕等の発情行動を約80%抑制したそうです。(参考資料:https://www.zoetis.jp/Is/cattle/bopriva/vets/ )
牛群検定における取扱い
牛群検定においても淘汰対象牛に関する問題があります。検定情報の中で、淘汰対象牛が「繁殖に供さない」と設定されていますか?
検定情報の上で、繁殖予定の牛と繁殖に供さない牛が区別されていることはとても以下の2つの点で重要な事です。
- 最終授精から70日以上授精報告が無い場合、「妊娠」とされてしまう(NR70法)。
- 未授精の場合も情報が取り込まれ、農場の繁殖成績が過小評価(分娩間隔やJMRの延長)されてしまう
一部抜粋した下表のように、検定情報には繁殖成績の評価の他、分娩時期・後継牛の把握など重要な情報が載せられています。やはり農場の健康診断ともいえる検定情報から、問題点を抽出するためにも正しい情報を反映させたいところです。

「売上」を伸ばすだけでなく、今回の事例のような突発的な事故「損失・支出」を減らすことも、大切な「利益」となります。「売上」と「支出」の両方に目を向け、困難を乗り切りたいところです。


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