つい先日、普段往診している農場で、新しく導入した自走式ミキサー(小型)を拝見させてもらった。40頭ほどのタイストール式の搾乳群だったため、「この容量だと1回の給餌で足りないので、2回混ぜる必要があるのでは?」と尋ねたところ、「その通り。でもウチでは濃厚飼料は混ぜずに、それぞれの牛に合わせて別に給餌してるよ。」と返答。この農場では、粕類と牧草をミキサーで混合していて、嗜好性も良くなり、粗飼料の摂取量が増加したとのことだった。しかし、作業面において、若干の不満もありそうだった。ところでこれは「TMR」ならぬ「PMR」ということになるのか…

給餌通路が狭いため、このサイズを選択

そもそも「PMR」とは
「PMR」とは、Partly Mixed Ration 部分的混合飼料のことで、TMR中に含まれる濃厚飼料を少し減らした、混合飼料となる。減らした濃厚飼料は別で給餌するのだが、一般的には、搾乳ロボットを導入している農場において、ロボット内に牛を誘導する「餌」として給餌されている。
「PMR」のメリット
- 個体乳量に合わせた栄養管理が可能
- 摂取量を個別に調節するため、経済的な給餌が可能
「PMR」のデメリット
- 「PMR」の栄養濃度が濃いと、別で給与している濃厚飼料への興味が薄れる(搾乳ロボットに入る回数が少なくなる)
- 「PMR」の栄養濃度が薄いと、選び食いのリスク上昇、嗜好性の低下
極めて粗飼料割合の高い「PMR」となるか?
では今回の混合飼料はどのような立ち位置になるのか。簡単に考えると、ミキサーで細断された牧草と、濃厚飼料をトップドレスで給餌する、乾乳牛の給餌方法が近いだろうか。この牧草の中におから等の粕類が混合され、若干乾乳の牧草よりも、栄養濃度が濃くなっていることになる。この給餌内容のメリット、デメリットから、改善策を考えたいと思う。
メリット
- 嗜好性に左右されにくい(分離給与と比較して)
- 細断による乾物摂取量の増加
- 個体管理が
- 労力の減少
デメリット
- 選び食いのリスク(水分調整や細断長の調整が重要)
- 1回当たりの濃厚飼料の給餌量の増加
- ルーメンアシドーシスのリスク増加
改善策を考える
作業面を効率化しつつ、飼料摂取量も増加させるために、いくつか選択肢を挙げると
- ミキサーに全て混合して、2回に分けて給餌する
- 結局「TMR」として給餌
- 濃厚飼料を複数回給餌する必要はなくなる
- 嗜好性の悪い粗飼料と濃厚飼料を混合し、良質な粗飼料は別で給餌する
- 「TMR」から粗飼料を減らした「PMR」、いわゆる「逆PMR」
- 飼料摂取も作業効率も上がる
- できる限り濃厚飼料を混合して、別に給与する濃厚飼料の量を減らす
- 力技。作業効率は変わらないが、ルーメンアシドーシスのリスクは減少
1番と2番は作業の時間やタイミング次第となるが、個体管理が難しくなる。「逆PMR」を給餌する前に良質な粗飼料を先やりすることで、ルーメンアシドーシスを軽減することは可能だと思われる。個体管理を優先するのであれば3番となるが、容量がどこまであるか…
良いアイディアができれば畜主に提案してみようと思う。


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